志賀高原の分割化

少し前になりますが、平成26年に公正取引委員会から、スキー場に対しては異例の警告がなされました。

 

志賀高原索道協会に対する警告

 

簡単に纏めますと、

 1 索道協会が、各エリアごとにリフト券を販売することを制限(実質禁止)していた

 2 1回券、修学旅行・スキー教室向けのリフト券の価格を策動協会が決定していた

 3 エリアごとのリフト券を発行したとしても、販売は旅行パックなど、抱合せでのみ販売を許可していた

 

この3点です。

 

一言で「志賀高原」と言いますが、みなさんご存知の通り、18のエリアからなる集合体のゲレンデです。なので、それぞれのゲレンデが、実は別会社で、以前は、それぞれのリフト券を発行していました。

 

この知名度もありビッグな志賀高原、80年代、90年代のスキーブームになっても、周辺スキー場の入り込み数の上昇に比べ、志賀高原は横ばい、エリアによっては入り込み数の減少が続いていました。そこで、各エリアの代表が統一の索道協会を作り、「共通券」を発行しようという流れになったのです。

 

共通券を発行しようと後押ししたものがもう一つ。リフト券のICチケット化です。それまでも共通券の話は出ていましたが、なにしろ18もスキー場が別れています。どうやって各エリアをカウントするんだという根本の問題がありました。

カウントの問題も解決し、人気復活のために共通券を1993年に、実現したのです。

 

しかし、2000年代に入り、根本的な雪山人口の減少が始まります。まず、2009年には、前岳・笠岳スキー場が運営停止に、ついで2016年からは木戸池スキー場が一般運営停止(のち完全運営停止)となります。

 

先程の公正取引委員会からの指摘事項、1番めのエリア券の制限、2番のうち1回券に制限を掛け始めたのが2003年、学校行事用価格の制限が2008年。さらに3番の抱き合わせについては、2013年からのスタートです。

 

このカルテルは、志賀高原スキー場の危機感からだったのでしょう。ただし、危機の回避方法が単純に「既存の利益を守る」方向に行ってしまい、肝心な消費者をないがしろにしてしまったのかなと。

確かに、この図でいうと、単体として大きな「奥志賀」「焼額山」、固定ファンが多い「熊の湯」「横手山」はやっていけそうです。それ以外はグループ化しないと厳しいのはわかります。また木戸池など滑れなくなったために、昔のように「端から端まで」チャレンジする人も少なくなったと思います。だからこそ、それぞれのゲレンデで「ここに滑りにきてよかった」と思えるような施策を、ぜひとも一スキーファンとしてお願いいたします。(ICチップの画像は、スキーマップル94年度版より引用させていただきました)

 

(ブログより転載)